Esについて

 毎年、4月後半から9月前半頃までの期間にテレビ放送(地上放送)のVHF帯1ch・2ch・3chの画面にシマ模様が入ったり、外国語の音声が混入する現象が発生することがあります。

 この現状はまさしく、スポラディックE層のイタズラによるものです。

 これは自然現象により、上空100km付近に突発的に発生する「スポラディックE層」(通称:Eスポ・Es)と呼ばれる電離層(電子の雲)が原因です。

 このスポラディックE層が発生すると、普段は届くことのない近隣諸国で使用している電波が反射され日本に到来します。


前述は、特にVHFにおけるテレビ放送(1〜3ch)の電波障害について述べられたものです。


浜松〜柏のEs通信の可能性について

先日、妻の実家である浜松に滞在していたおり、Esオープンがありました。

その際、15mバンドにおいて浜松〜柏の間においてQSOが成立しました。

このQSOについて検証をしたいと思います。

2006年5月6日 17時27分(JST) QSO開始

JS1UFE/2 静岡県浜松市新原 〜 JE1HJA/1 千葉県柏市

RSは共に59。 21.2770Mcを使用。 電波形式はSSB(USB)

 

1.直線距離

 浜松〜柏の直線距離は、地図を物差しで測ると約240Km前後

2.Esの高度

 Esの高度は一般的に地上から、100km

3.JS1UFEの通信システム

 RIG IC−730S + 50Wリニアアンプ

 ANT 1/4λ短縮GP(モービルホイップ)

4.JE1HJAの通信システム

 RIG 不明

 ANT 不明 ※「モービル半固定」とアナウンスがありましたので

     モービルホイップであると仮定。

上記の条件1・2において、理論的に計算をすると次の様な計算結果が得られます。

上記計算結果から考えると、JS1UFEはモービルホイップを使用し、JE1HJAも

モービルホイップを使用していたと思われます。したがって両者が電磁波を相互に放射した場合

放射角度は、計算結果の角度である38.52度に近いものと思われます。

この事から考察されることは、浜松〜柏の間においてQSO成立した際に他局では

浜松〜柏という近距離通信が成立出来なかったのは、アンテナからの放射角度が

最大の原因と考えられます。

このQSOの一番近い条件のイオノグラフを掲示します。

地上100〜120Kmの所に約10Mcを越える帯が見えます。

この帯がとぎれたところが、Esの垂直反射臨界周波数となります。

上記の場合は約12Mc程度の所に臨界点が見えます。

臨界周波数が10Mcを越えると入射角の問題はあるものの、50McでEsを利用した通信を確保することが

出来ると言われています。

このイオノグラムからみても、前述の浜松〜柏における通信は可能であったと説明が出来ます。

また、1エリア〜2エリア間のQSOがほとんど無かったのは、アンテナからの電磁波の放射角及び

電磁波がEsで反射する反射角の問題があったものと思われます。


ちなみに埼玉〜沖縄におけるEs通信の場合は、下記の条件となるようです。

つまり、1500Km程度離れると、多素子アンテナを使用して、ビームパターンを絞り込んで

使用することは、有効と思われます。


参考

この辺を JO6AKR 田辺 正実 氏が理論的に紹介しているHPがありますので御参考にされてください。


追伸 この様な事がわからずに、OUTPUT競争をする局がありますが、それはどうかと思います。

    とにかくEsを楽しみたい方は、HB9CVアンテナを水平面から10〜40°程度上方に向けて

    アンテナを回してみると、ガツンと入感する方向が見つかるはずですよ。

    OUTPUTは免許範囲で十分ですし、小電力で通信するところにアマチュア無線の真骨頂があるものと思います。

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